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2010年6月12日土曜日

食生活支援というクラスターアプローチによるコミュニティケア戦略の実現に向けて~ICTの活用によるソーシャル・キャピタルの醸成~

7月12日に下記の要領で寺子屋セミナーを開きます。今回は、フォーラム会員の永長周一郎氏による話題提供です。

セミナー詳細と申し込みはこちらからです。

 全国で歯科医院は68,000施設あり、コンビニの店数を凌駕しています。これらの歯科医院を、地域社会に埋め込まれたソーシャル・キャピタルと見なせば、歯科医院を他のリソースと機動的に繋いで活用する行き方が「持続可能な福祉社会」では求められることになります。そのためには、従来の歯科完結型の治療ではなく、医科歯科連携を機軸にした、多職種連携、ネットワーク化へ新化させるヘルスケアサービス・イノベーションが必要となります。

 そこで、今回は、口腔ケア、評価も含む口腔リハビリの実際とともに、ICT(Information and Communication Technology)の活用による、食生活支援というクラスターアプローチによるコミュニティケア戦略についてお話頂きます。

<アウトライン>

 時代、世相を斬るものといえば、新聞、テレビ、最近は、ソーシャルメディアである、ブログやTwitterがあります。変わったところでは、中学受験の出題動向があり、国語では、「食」の見直しをテーマにした文章が目立ち、そこから派生した家族の絆、人間としてのあるべき姿、モラル、コミュニケーションにまで及ぶ、「食」に関するメッセージ性の高いものが出題されているそうです。

 わたしたちが、健やかな生活をイメージしたとき、そこには温かな食事とともに豊かなコミュニケーションが待っているのではないでしょうか。医食同源といわれるとおり、口から食べることは健康長寿の源ですが、一方で「人はパンのみに生きるにあらず」であり、医学的な栄養管理の側面とともに、生活支援としての食支援が考慮されるべきでしょう。

 日本は、先進諸国に先駆けて、急速に超高齢社会を迎えようとしていますが、高齢者とご家族、そして地域全体の「食コミュニケーション」「食生活」を支援する社会関係資本、ソーシャル・キャピタルは少ないため、複数機関、多職種による連携・協働が不可欠とされており、歯科の役割もクローズアップされています。旧来型の歯科治療では、虫歯や入れ歯という印象が強いでしょうが、本来のミッションは「口から美味しく食べて、健やかに過ごす」ことにあり、現在、口腔リハビリとしての「口腔ケア」「摂食・嚥下リハビリテーション」が拡充されつつあります。要介護高齢者の誤嚥性肺炎予防としての口腔ケアが着目され、在宅からの再入院を防ぐことは、費用対効果、医療経済の視点からも重要です。

 地域コミュニティに網羅された歯科医院は貴重な社会資源であり、ソーシャル・キャピタルとしての活用が「持続可能な福祉社会」では求められています。そのためには、従来の歯科完結型の治療ではなく、医科歯科連携を機軸にした、多職種連携、ネットワーク型のヘルスケアサービスが必要となります。そこで、今回は、口腔ケア、評価も含む口腔リハビリの実際とともに、ICT(Information and Communication Technology)の活用による、食生活支援というクラスターアプローチによるコミュニティケア戦略をお話したいと思います。

参考文献:
1.永長周一郎、角 保徳、足立了平:歯科医師会との連携-歯科医師の立場から、在宅医療-午後から地域へ(日本医師会雑誌第139巻・特別号1)、pp66-67、日本医師会、2010.
2.永長周一郎、品川 隆:特集実践!在宅医療 多職種連携における歯科医師、治療、91(5):1547-1551、2009.文献リンク
3.永長周一郎、前田泉:特集食コミュニケーションにおける歯科の役割 地域に密着した歯科医の重要性、GP-net、55(6):11-18、2008.文献リンク
  
<日時と場所>

○2010年7月12日 19:00~20:00 その後Q&A、ディスカッション約20分
○金沢工業大学工学研究科虎ノ門大学院 アクセスはこちら
○セミナー終了後、懇親会あり(会費制)

<演者プロフィール>

永長周一郎(東京都リハビリテーション病院診療部歯科、日本大学医学部兼任講師)

1987年日本大学松戸歯学部卒業後、東京大学医学部附属病院分院歯科口腔外科研修医、医員、東京大学保健センター歯科、東芝病院、東京大学医学部文部技官教務職員として急性期医療に従事。その後、大宮共立病院歯科口腔外科科長、大生病院歯科口腔外科副医長として療養型医療に従事。1999年より現職となり回復期リハビリ医療に従事。2008年筑波大学大学院教育研究科修士課程リハビリテーションコース修了。

博士(歯学)
修士(リハビリテーション)
日本老年歯科医学会認定医・指導医
日本障害者歯科学会認定医
日本リハビリテーション医学会会員
介護支援専門員

一般社団法人全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会 理事(IT・コミュニケーション局)
日本病院歯科口腔外科協議会 理事(IT・情報)
日本有病者歯科医療学会 評議員・広報委員・会則検討委員

セミナー詳細と申し込みはこちらからです。

2010年6月2日水曜日

"How and who will care for the aging and dying population?"

Temple University(麻布) のHealthy Healthcare - Lecture Seriesにてフォーラム世話人、松下博宣が"How and who will care for the aging and dying population?"というテーマで講演します。ソーシャル・キャピタルを活性化させるためのサービス・イノベーションに焦点を置きます。

主催者からのリクエストにより英語での講演となります。詳細と申し込みはこちら

<以下貼り付け>

Date: Friday, June 18th, 2010
Time: 7:00 p.m. door open (7:30 p.m. start)

Outline:

As Japan is faced with confronting an aging and dying society in advance of the rest of the world, systemic problems have become intense and diverse. In his presentation addressing “How and who will care for the aging and dying population? Professor Matsushita will discuss the problems associated with the underlying phenomena of Japanese population, death, healthcare delivery systems, and health service organization primarily from his own service innovation perspective.

Although invention geared towards artifacts including pharmaceutical and medical equipment utilizing cutting-edge medical technology seems attractive, is materialistic innovation perfectly effective and affordable for those who require care? Should the significant part of the national budget go to the sector that leads materialistic innovation? Who decides the application of newly developed medical technology and how? Does the principle of market competition work well in health care? In answering those questions, he will provide the audience with insights to use and empower “social capital” in innovating health services in local community.

<以上貼り付け>

2010年6月1日火曜日

論説「混合診療は原則解禁すべき?」

本フォーラムメンバーの木村憲洋さん(高崎健康福祉大学准教授)の論説「混合診療は原則解禁すべき?」が日経ビジネスオンラインに掲載されています。


医療サービスイノベーションの立場からも『混合診療』には大きな関心を寄せています。患者利益、公的・民間医療保険医療機関、行政はもちろんのこと、新規性の強い新規薬剤、医療機器、先端医療の開発フェーズを含める医療のイノベーション生態全般のステークホルダに対する影響が大きいからです。

さて木村さんは「いわゆる『混合診療』問題に係る基本的合意」により創設された、先述の保険外併用療養費制度によって、すでに一部は混合診療が解禁されているという事実認識をベースに論を展開されています。

<以下貼り付け>

 ただ、先で触れた混合診療を巡る訴訟において、一審の東京地裁では、「保険外併用療養費制度上の給付対象が、保険給付に値する組み合わせを網羅的に拾い上げたものではないことから、それ以外は保険給付の対象にならないとの解釈は成り立たない」と断じています。一方、二審の東京高裁では国が逆転勝訴したわけですが、最高裁が今後、どのような判断を下すかが注目されます。

<以上貼り付け>

まさに最高裁の判決が注目されます。

最後のほうで「混合診療」について読者に賛否を問うています。双方向性を活かしたオピニオン集約型の論説はネットならではです。